令和4年3月定例会(3月25日)

◆9番(DELI議員) こんにちは。政策実現フォーラムのDELIです。

 それでは、ただいま議題となっております議案第92号、松戸市総合計画の策定について、政策実現フォーラム並びに会派立憲民主党の両会派を代表して、反対の立場から討論を行います。

 まず、この新たな総合計画ですが、基本計画及び総合戦略の役割を持つことで、市の方向性がわかりやすくなっていると執行部は認識しているようですが、私たちは、むしろわかりやすくなっていないんじゃないかというふうに考えています。

 KPIや目標値の設定についても、目指そう値、それから第6次実施計画や現行総合計画から継続したもの、そして新たに設定したものと、大きく三つに分かれていると思いますけれども、この数値が、それぞれ個別計画やこれまでの市の方針と本当に整合性がとれているのかという疑念が拭えません。

 今回の計画の特徴では民間企業の達成の度合いなどを示すKPIを注目して見てみると、利益を得るために重点的に取り組むものと、利益にならないから後回しにする企業戦略のように、総合計画が何に力を入れているか、あるいは何に力を入れていないかというのがわかりやすく見えてくるのではないでしょうか。

 例えば、市長が1期目の後期基本計画では、「いっしょに創ろう!私たちの明るい未来」とうたい、第2章政策展開の方向では、「一人ひとりの人権が尊重される地域社会をつくります」であるとか、「男女共同参画社会をつくります」とありましたけれども、今回の総合計画では、第3章政策展開の方向では、基本目標6‐2に「人権や平和が尊重される地域社会の形成」と、こううたっています。そして、KPIも、「人権問題についての関心や理解を深めた」人の割合を、10年間でわずか0.5%増と低い数値です。基本理念としては掲げていた施策にしては、トーンダウンしているということが否めません。また、「男女共同参画の推進」とありますけれども、こちらもKPIは女性就労の決定者も10年後に10名しか増えないとしています。平和意識の高揚も、平和事業参加者は10年後に88名増。一方、基本目標1に、子育てなど都市ブランドづくり、選ばれるまちづくりを進める、松戸駅周辺の文化拠点整備、基本目標3に魅力的なまちづくりとして、新松戸駅東側地区区画整理10年後100%とあるように、市が何に取り組みたいかが見えてきます。これは、果たして市民ニーズと合っているのでしょうか。

 また、子育て・教育・文化の課題の中に、「市民ワークショップ」において、図書館の施設改修、蔵書数改善や、図書館の魅力向上を希望する声が多数寄せられ、「市民ニーズ調査」でも、今後特に力を入れてほしい取り組みとして、「図書館機能の充実・強化」を求める回答が37%と最多になっていると記載がありますが、人口1人当たりの蔵書数のKPIは2.4冊です。県内平均は3.15冊ぐらいですし、今から5年以上前に策定された松戸市図書館整備計画においても、少なくとも100万冊程度の蔵書が必要だとしているわけですから、今後8年かけて目指す目標値としては、こちらも低過ぎるというふうに思います。

 「SDGsを推進する社会」の環境問題についても、標榜している将来像を目指すには、CO2排出量の削減率も目標値としては低過ぎます。

 また、一番わかりやすく低い目標、指標でいうと、健全化判断比率です。質疑を通して確認しましたが、早期健全化基準を上回っている自治体というのは、全国1,700以上もの自治体がある中でたったの一つしかないんです。前回の総合計画には、財政力指数1.05を目指すとしていたのに、今回は、財政力指数の上位2割水準を維持すると記載はあるものの、すぐその下には、全国でたった一つの自治体しか陥っていないような状況にはならないようにしますとなっているわけです。この落差は一体何なんでしょうか。それぐらい大きなお金を使うことを見越しているという、そういう計画なんでしょうか。

 そういった中で、財政の見通しがとても心配なわけですが、この総合計画の財政の見通しを補足するために、各議員には「主要事業における財政の影響額」という資料が配付されていました。そこには令和11年までの財政見通しは、新拠点ゾーン整備事業、新松戸駅東側地区土地区画整理事業、小中学校長寿命化改修事業などを実施することで、負債としての市債残高は2年から8年の比較で135億円増加する、一方で、資産として基金残高は、2年から8年の比較で、206億円増加する、そしてこれらの差額は71億円の黒字であるから、松戸市の財政状況は悪化しないというふうになっていましたけれども、代表質問での関根ジロー議員への答弁によって、企業会計を除いた市債残高は277.4億円の増加であり、基金との差額は72.5億円の赤字であることがわかりました。

 常磐線快速電車の新松戸駅停車についても、先の代表質問で約232億円という概算工事費が明らかになりました。費用負担については、今後、協議を行い、快速停車の実現に向けて推進してまいりますとの答弁もありましたけれども、こういったことは総合計画では考慮されていないんです。

 さらに言うと、この財政の見通しには、新拠点ゾーン整備事業関係費が計上されていて、歳入には、現市役所の土地の売却益35億円も含まれているということも確認できました。しかも、平成31年3月定例会で市長が明言した優先したい多額予算を要する三つの大型事業、市役所の建て替え、新松戸東側地区土地区画整理事業、それから新焼却施設建設です。そのうち市長が突如として先送りを表明した数百億円はかかると言われている新焼却施設の建設に係る事業費は含まれていませんので、令和11年以降はさらに市債が増加すると思われます。

 我々も、大型事業の多くは、いずれ市民のためになるものとは考えています。しかし、今は厳しい現実を見詰めて、早くやらなければならないものを先に行うようにして、事業の優先度をつけて行うことが、将来を見据えた責任ある財政運営となるわけで、現状の市のやり方を見ていると、こうした責任ある財政運営の姿勢とは残念ながら思えず、あえて情報を制限して、早く議会を通してしまいたいという安易な姿勢にも見えます。市民の代表であり、行政をしっかりチェックすることが役目の我々としましては、こういった状況の中で、このような総合計画を認めるのはとても難しいと判断しました。

 議会として、こうした市のやり方を認めない、はっきりとノーを突きつけるべきだと皆様に呼びかけまして、議案第92号、松戸市総合計画の策定について、政策実現フォーラム並びに会派立憲民主党両会派を代表しての反対討論とさせていただきます。皆様の満場の御賛同をよろしくお願いいたします。(拍手)

◆9番(DELI議員) ただいま議題となっております令和3年度請願第5号、交通安全運動に協力した松戸市民が受けた人権侵害に関する取り組みを求める請願について、政策実現フォーラム並びに会派立憲民主党の両会派を代表して、委員長報告のとおり、不採択すべきという立場で討論したいと思います。

 今回、事前に、請願者から参考資料の提出や御説明をいただきました。その中で、アバターやVTuberは匿名の配信方法として、性的少数者や障がい者の発信方法としてのニーズや関心が高まっている中、否定的な懸念材料として何度も参照される可能性があるということが前提になっているということは一定理解できましたが、質疑を通して、この請願の中にある、いわゆる否定的な懸念材料となっていると思われる、先ほどミール計恵議員の討論にもありましたけれども、協力する松戸市民を原因と断定している部分であるとか、人権侵害や名誉毀損にこの抗議文、公開質問状のどの部分が当たるのかなどを質疑したんですけれども、明確にはなりませんでした。

 また、執行部への質疑では、市は個別の案件について、人権侵害かどうかの調査や判断をすることはできないということも確認できましたが、人権侵害が発生しているという法務省などの判断がない、ある意味まだ人権と人権が衝突をしている状況で、行政が予断を持って啓発などの取り組みに反映するというのはとてもハードルが高いと思います。というより、むしろ行政は予断を持ってそのようなことをするべきではないと考えます。

 個別の人権問題に関する所管は法務省であり、松戸市の所管でないこともそもそもの請願願意に沿いがたい理由ですけれども、一般的な人権に関する我々の考え方を少し申し述べさせていただきたいと思います。

 日本国憲法において、人権は大きく自由権、参政権、社会権、受益権に分けることができます。このうち自由権は、精神的自由、経済的自由、人身の自由に分類されます。さらに、精神的自由は、思想・良心の自由、信教の自由、学問の自由、表現の自由に分類されます。これらの人権は、絶対無制限というわけではなく、他者の人権にも配慮しなければなりません。この点、憲法の教科書には、「ある個人の人権と別の人権がぶつかり合ったときに、その衝突の限りにおいて人権が制約されます。このような人権と人権の矛盾、衝突の調整の原理が公共の福祉です」という旨が記載されているはずです。

 そして、請願が取り上げている千葉県警による広報についてです。我々としては、表現の主体が一般人なのか、公なのかは重要な要素になると考えています。この点、武蔵野美術大学の憲法学者志田陽子氏は「現代ビジネス」において次のように指摘しています。一部抜粋をさせていただきます。

 「自治体の広報は「公」が発言する言論に属するもので、一般人と同じ「自由権」の保障を受けるものではない。そこに「公の言論としては不適切ではないか」との批判が生じたとき、公の機関が発する表現は憲法21条の「表現の自由」によって保護されるわけではなく、またこれを規制する法律が特にあるわけでもないので、市民と「公」との協議によって適切な表現へと収束されることが求められる。」

 我々としては、この意見に賛同するもので、ただいま議題となっています請願願意は、「市民と「公」との協議によって適切な表現へと収束」することを求める内容ではないため、請願に賛同することは難しいと申し上げます。

 以上の理由をもって、令和3年度請願第5号については、両会派を代表して、ただいまの委員長報告のとおりで不採択とすべきと主張させていただきます。皆さんの満場の御賛同をよろしくお願いいたします。(拍手)