令和7年度予算修正案
【修正案提案理由】
ただ今議題となっております、議案第64号令和7年度松戸市一般会計予算の歳出について
第2款総務費、第1項総務管理費、第6目財産管理費の新庁舎管理事業のうち、新庁舎整備基本計画策定委託料4664万円、
及び第8款土木費、第4項都市計画費、第3目土地区画整理費、土地区画整理事業のうち常磐線快速列車新松戸駅停車資料作成委託料他984万4000円
合計で5648万4000円を削除し、歳入歳出合計を原案1949億8000万円から1949億2351万6000円とする、修正案を提出します。
前提として、我々政策実現フォーラム・社民と会派立憲民主党の両会派は、市の財政運営への疑問や今後の見通しへの不安がある中で、大型事業の優先順位や進め方について再三指摘をしてきた所です。今回もそう言った我々の考え方に基づき、まずは市の財政運営について色々確認させていただきました。
まず市税予算額が前年度比約50億円も増額されていたので、その根拠をお聞きしましたが、主な理由とされる個人市民税については、令和6年度は定額減税の実施に伴い一時的に減少したものでその影響額22億6000万円を除くと、実質的な対前年度比は約16億円の増額を見込んでいるとの事でした。
基金はどうなっているでしょうか?コロナ禍に入る前は約120億円ほど積み上っていた財政調整基金の基金残高は60.7億円まで減ってしまっています。
総合計画では、令和4年から11年度までの8年間で社会資本の整備など、支出の影響が長期にわたる経費で、施設整備のための建設費などの投資的経費が1,187億円必要であると推計しています。また、令和8年から11年度までの4年間では713.4億円と推計しています。これは、令和元年度決算を基に推計されたものですが、現状では物価や建築費の高騰を踏まえるとこれよりもっと大きくなっていくと思われます。
そこで現状では、令和11年度までにどれくらい投資的経費が必要になり、それによりどの程度の財政調整基金の積み立てが必要になると考えた上で、目標額を設定し計画的に積み上げるべきではないか?という事をお聞きしましたが、市の答弁は現在も経済を取り巻く環境は変化し続けており、物価動向の上昇が今後どう推移するか不透明な状況であることから、今後における投資的経費の必要額及び財政調整基金の目標額を示す事は難しいとの事でした。
今後控えている様々な大型事業の概算費用がどれも明確になっていない状況では、4〜5年先までに投資的経費がどのくらい必要か?その為に財政調整基金がどのくらい必要なのか?という事も想定できないんだと思います。
ただこのままの状況が続くと、これまで以上に基金が減少してしまう事は認識しているようで、近年の減少の要因である国民健康保険特別会計の保険料金の値上げ抑制に伴う赤字への対応や市税収入確保に向けた取組みなど、今後に向けた検討が必要である事は考えているようです。
財政調整基金の目安は、一般的に標準財政規模の10%程度とされているようですが、松戸市の令和5年度決算における標準財政規模は約953億円との事なので、その10%程度となれば約95億円です。
翌年度以降に市税や地方交付税として増収が見込まれていることから、当初予算で取り崩して繰り入れている20億円は、新年度9月補正にて全額繰り戻すつもりで結果的には、令和6年度末残高の80億7千万円となるものと見込んでいるようですが、それでもまだ足りません。
また市債残高も増えていく見込みで、令和7年度末の臨時財政対策債等を除いた市債残高の見込みは755億円です。
松戸市と同じように公共施設の更新時期を迎える柏市でも、令和7年度予算、市債残高は増え、財政調整基金も取り崩しが予定されていますが、臨時財政対策債等を除いた市債残高見込みは576億円です。財政調整基金残高見込みも、新年度49億円取り崩しても105億円の見込みとなっています。そして何より、公共施設再編を見据えた公共施設準備基金139億円というものもあります。
本市でも庁舎建設基金がありますが、残高は67,1億円でありここ数年積み増しが出来ていません。
又、さきほども述べました財政調整基金の取り崩し要因とされている国民健康保険の赤字補填にしても、柏市では、中期財政計画を立て改善に取り組んでいます。
今後、八潮市の下水道管の事故のように確実に増える公共施設更新費用、加えて、新松戸快速列車停車などの街づくりへの投資、今のままで本当にすべてできるのでしょうか?10年後の本市財政はどうなっているのでしょうか?
大型事業の費用見込み等を算出し、やらなくてはならないマストの事業なのか、街づくりへの投資的事業ならば、その費用対効果を見極め、今まさに事業の選択と集中を行うべき局面に立たされているということを、代表質問や予算審査を通して改めて感じたところです。
これまでは事業の良し悪しというものが、予算の可否の主な判断要因であったかと思いますが、今後はたとえ市のために良い事業であったとしても、本当に今、他の事業に先んじて行わなくてはならない事業なのか、その優先順位を将来の財政をみながら判断しなければならないと思います。今やろうとしている街づくりの先行投資が有効に働くのか疑問を抱かざるを得ず、逆に将来負担を増やし、将来に禍根を残すのではないか?と危惧をしておまります。
そういった観点から認めるわけにはいかないと判断した事業について修正削除をする理由を申し述べます。
まず、新庁舎管理事業のうち新庁舎整備基本計画策定委託料4664万円についてです。
この計画策定は昨年突如出てきた「市役所機能段階的整備案」第1ステップに基づく機能配置を検討し、併せて、第2ステップに向けた課題を整理するもので、この段階的整備案は基本構想を踏襲しているものであるとの事でした。
その基本構想で移転と判断した大きな理由として、現地建て替えとの費用比較をし、費用的にも移転建て替えのほうが有利なことを挙げていました。その費用見込みは今回の基本計画の中で示していくとの事でしたが、質疑を通して第2ステップまでの事業費算定については、現時点での想定はないそうです。つまり全体の概算事業費はいつ出てくるかもわからないようです。
少なくともこの基本計画で出されるであろう費用見込みについて、改めて第1ステップにおける現地建て替えとの比較をこの基本計画内で示すべきだと考えますが、現地建て替えは現実的には困難、移転が最適と市は既に判断済みとして、基本計画での比較はしないと明言されています。しかし、基本構想では、なぜかその困難とする現地建て替えとの比較をしていますし、かつ構想を踏襲するからこそ、新たな構想はつくらないとしています。構想を踏襲しているとするならば、重要な移転建て替えの決め手の一つであった現地建て替えとの比較をしないのはやはり解せません。
さらにこの段階的整備案を認めるができない最大の反対理由は、第1ステップの完了までの8年間、3次診断でIs値0.3未満、つまり震度6から7の地震で崩壊する危険性が高いとされるゾーンにある耐震性が不足している現本館・新館を使用するという点です。
代表質問でも確認しましたが、移転までの期間のリスクを避けるための仮庁舎の検討について、市は行わないということも改めて分かりました。
大地震は本当にいつ来るのかわかりません。仮に、耐震性不足の本館、新館の倒壊があり、人命が失われる事態となれば、責任は重大と思います。我々はこのような重大な責任を共有する事はできません。知っているのに対応しないことは不作為ではありませんか。
続きまして、土地区画整理関係業務のうち常磐線快速列車新松戸駅停車資料作成委託料984万4000円についてです。
これまで松戸市は、快速停車が実現できた場合の駅改良案の整備費や需要予測の検討など様々な調査を重ねてきました。
平成29年から始まった調査等の費用はすでに合計で約9000万円にもなってしまっています。
さらに令和7年度は国、県、近隣自治体及びJR東日本との協力体制をつくる意味でも必要な資料を作成したいとの事。
その為には、鉄道事業に精通したものからの専門的な助言・支援を受けるもので、目的のひとつとして、財源確保についての課題を抽出し、その対応策を検討することやこれまでの成果を基に基礎データを整理し、本市とJR東日本が共に停車に向けた具体策等を検討する為のものだそうです。
改めて確認しましたが、この快速列車停車の事業の主体はJR東日本なんです。
なぜここまで松戸市が公金を投入して調査や検討、財源確保の課題を抽出して対応策を検討しなければならないのか?をお聞きしましたが、合理的な説明はいただけませんでした。
松戸市はどのくらいの負担額なら事業の可否を判断するのかもはっきりした答えはいただけませんでした。
わかってるだけでも莫大な費用を必要とする事業にどのように松戸市が関わっていくのか?どのくらいの負担を負うのか?等もまったくみえない業務にこれ以上をお金を使う余裕は今の松戸市にはあるとは思えません。
以上のことからそれぞれ修正削除することを提案します。